「負の感情が勝手に音色に出てしまうようではいけないのよ」

先輩はうつむいて言った。

「まあ、私が言えた立場にないことはわかってるけど……」

俺はやっとのことで言った。

「ち、ちょっと待ってください。俺は先輩が嫌いじゃないです」

先輩はうつむいたままで言った。

「気遣わなくていいのに」

「本音ですよ」

先輩はちょっと表情を緩めて呟いた。

「……ごめんね」