「ずっと痛いのは辛いでしょうし、準備できしだいすぐ手術してしまいましょう」

医師は飄々と言った。

「お母さんは入院の支度をしてあげてください」

母親は腑抜けになったような顔で、こくこくと頷いた。

何だか、全てに現実味がなかった。

無駄に白い部屋の壁も、母親のスカートの花柄も。

俺を圧倒的な痛みでさいなみ続ける左手でさえ。

長瀬たちとボールを追いかけていたときが、すごく遠くに感じた。