愛させろよ。

長瀬は定期演奏会のチケットをひらひらさせた。

「よかったぜ」

聴きに来てくれてたのか。

「ありがとう」

「でさ……」

長瀬は声をひそめて言った。

「吉永何とかさんって人、可愛いな」

「は?」

「ほら、お前の前に座ってた人だよ。高三の」

長瀬は興奮して、どんどん声がでかくなってくる。