「そろそろ黙って、集中してください。もうお客さんが入り始めてます」

伊藤先輩が言うと、みんなは水を打ったように静まりかえった。

照明がふっと落ちた。

その直前、桐谷先輩は俺を見て確かにうなずいた。

先輩はやりきるだろう。

俺は暗さの中、楽器を撫でながらまぶたを閉じた。