長い長い沈黙の後、ぼそりと先輩は言った。

「ねえ相原……私、やっぱり…怖い」

「……え?」

「あのリハーサル、みたいに…なっちゃったら…どうしよう……」

俺も怖かった。

そもそも、こんな状態でステージに上がること自体、賭けみたいなものなのだ。

でも、俺は言った。

「きっと大丈夫ですよ。先輩は、桐谷藍なんですから」