愛させろよ。

部員たちは異常なハイテンションに包まれていた。

そこここから笑い声が上がり、歌声が聞こえた。

先頭の伊藤先輩がみんなを振り向いて言った。

「転んだりしないでくださいね! 手とか怪我したら吹けませんよ!」

「その通りよ……」

隣で桐谷先輩が呟いた。

桐谷先輩は、今のところしっかりと歩けていた。

疲れさせてはいけないと思って、俺は話しかけず黙々と歩いた。