俺の右から聞こえていた音が、ぱたりと止んだ。

はっとして横を見ると、明らかに桐谷先輩の様子がおかしい。

「………ん……くっ……」

先輩? 先輩!? どうしたんですか!

ソロはすぐそこまで迫っている。

堤先輩も異変に気づいたらしく、気遣わしげな視線を送ってくる。

ついに、ソロまであと三小節だ。

桐谷先輩の様子は変わらない。

無理だ、間に合わない……!