堤先輩が出てきて礼をし、指揮棒を振り上げた。

最初の四分音符が鳴った。

堤先輩の表情には緊張感がみなぎっている。

金管の力強いメロディーに、木管の軽やかな連符が絡み合う。

リハーサルなのに、こんなに本気なんだ……!

先輩方の気迫に押されるように、俺も夢中で音を出した。

曲が終わると、堤先輩は引っ込んで、司会が入った。