俺たちは、ショッピングモールの出入り口まで戻ってきていた。

「じゃあね、相原。私は他に寄る場所があるから」

「はい。今日はありがとうございました」

「こちらこそ」

先輩はふわりとお辞儀をすると、歩き去った。

先輩が見えなくなった後も、俺の頭は先輩でいっぱいだった。

まぶたの裏には微笑みが、鼓膜の内側には声が、しっかりと張り付いていた。