愛させろよ。

振り向かず、うつむいたままで、先輩は言った。

「ねえ相原……私ね」

楽器をかたく抱きしめ、先輩は続けた。

「この緑の目が、ずっと、嫌いだったの」

俺は、静かに次の言葉を待った。

「これが好きって言ってくれたのは、相原が初めて……」

そこまで言うと、先輩はまた歩き出した。

音楽室に着くまで、一度も振り返らなかった。