俺はしばらく口が利けなかった。

「……無理っすよ。俺が先輩の補欠をやるなんて」

「でも相原しかいないの」

相原しかいないの、相原しかいないの……

その甘美な響きが、俺の頭をこだまする。

嬉しい、しかし無理なものは無理だ。

なんだかんだ言っても、俺は超絶ヘタクソな若葉マークなのだ。

「茉莉花先輩がいるじゃないですか」

「吉永先輩? だめよ」