ギャルとメガブス

「酷いよ……約束したのに!」


約束?


「一緒に曲を作ろうって、約束したじゃないか!」


曲……。

胸がちくりと痛んだ。



正直に言おう。

私は、過去を全部捨て去ったつもりでいた。

しかし、一つだけ捨てきれずにいたものがあった。



それは、あの日ミキちゃんに踏み潰された、ぐしゃぐしゃの五線譜だった。



今でも、家の引き出しの中に、封筒に入れてしまってある。

多分、私にとって、それが唯一の、少女時代の温かい思い出だったから……。