ギャルとメガブス

私が突然怒鳴ったので、俊くんは驚いて泣くのを止めた。

きょとんとした表情で、私を見つめている。


「私がどんなに辛かったか、どんなに苦労していたか、あんたになんて分かんないわよ!

みいちゃん、なんて呼ばないでよ。

そんな名前、大嫌いよ!

私はねェ、ミナよ。

ミナって呼ばれてんの!

昔のドブスでメガネのミナコとは違うのよ!

全部、全部忘れたの! 捨てたの!

何も思い出したくなんてないのよ!」


どす黒い感情が、腹の底から沸き起こり、一気に喉元を通過して、外に吐き出された。

俊くんは、唖然とした表情で、私を凝視している。


「……みいちゃん?」


「だから、止めてって言ってるでしょう!

そんな呼び名で、呼ばないでよ!」