ギャルとメガブス

「……そんなこと、言わないでよ……」

「うるさいわね、来ないで!」

「僕ら、友達でしょう?」

「何言ってんのよ、私の知ってる俊くんは、もう22歳なのよ!

死んだ人間に友達なんていないわ!」

「そんな……」


俊くんは、見開いた目からとうとう涙を零した。


私は何故か「しまった」と思った。

何が「しまった」なのかは、自分でも良く分からなかったけれど。



「誰も、気付いてくれなくて……僕……ずっと一人ぼっちだったんだ。

家に帰っても、ママは僕に気付かないし、学校へ行って誰かに話し掛けても、皆知らんぷりだし。

ずっと、ずっと一人だったんだ。

誰にも気付かれないで、このまんま……。

皆、段々大人になってった。

なのに、僕だけ……僕だけ何も変わらないまま……ずっと一人で……」


その後は、嗚咽だけが夜の裏通りに響いていた。

しかし、恐らくその押し殺した啜り泣きすら、私以外の誰にも聞こえていないのだろう。