ギャルとメガブス

先ほどの階段での転倒時にすりむいた膝の傷が、更に激しく痛んだ。

おまけに、足まで挫いたようだ。


動けない……。

恐怖が募る。


ああ……。

夢なら早く覚めて……。



「みいちゃん」



すぐ背後、耳元で声がした。

全身を、ぞっと鳥肌が覆った。



「みいちゃんでしょ?」



振り返ってはいけない。

だって、そこにいるものは、

いるはずのない人だから。