「お客さん、終点なんですが」


見知らぬ男の声に、私は目を覚ました。


「……え?」

「ここ、終点ですよ」


私は跳ね起きた。

目の前には、困惑気味な駅員の姿。


しまった!


私は立ち上がって舌を打つ。

酔い潰れて、うっかり電車を乗り過ごしてしまったのだ。


顔を上げて、駅の表札を見ようとしたら、頭を振った拍子に、目が眩むような頭痛。

もう一度舌を打ち、こめかみを押さえる。



『富士見が丘』



ああ……。

やってしまった。