ギャルとメガブス

「別に」


私はぶっきらぼうに答えた。

本当の気持ちなんて言えない。

言ったら多分、我慢できなくなって、わんわん泣いてしまうだろう。

私が泣いたら、母はもっと悲しみ、途方に暮れる。

そして、私なんかとは比べ物にならないくらい、母も自分を責めるだろう。



そんなこと、絶対にいけない。



「ミナコ……お母さん仕事ばっかりで、あんまりミナコと一緒にいてあげられないけれど、何かあったら、何でも言ってちょうだいよ」

「……うん」

「お母さんは、いつだってミナコの味方なんだから」

「うん」


言われなくたって、充分分かっている。


だけど、


言えない。


「ごちそうさま」


私は、大急ぎで残りのご飯を胃の中に書き込んで、自分の部屋へと逃げ込んだ。

暗い部屋の中で、照明もつけずに布団に潜り込み、母に聞こえないよう、声を殺して泣きじゃくった。