ギャルとメガブス

私は、学校で苛められていることを、親には内緒にしていた。

うちの両親は離婚していて、私は母親と二人暮しだった。

父は、母曰く「ロクデナシの遊び人」だったので、母に私の養育費を払うなんてことは全くしなかった。

そのため、母は私を養うために、昼夜働きづめだった。

常に疲労の溜まった顔で、それでも私には疲れているところを見せまいと頑張っている母に、これ以上の負担を掛けたくなかった。



だが、子供の私が隠していても、大人には大人の情報ルートがあるようだ。

ある日の夜、夜勤前の母と一緒に静かな食卓を囲んでいる時、母がおずおずと私に尋ねた。


「ミナコ……あなた、苛められているの?」


私は飲み込みかけていたコロッケが、喉に詰まりそうになった。

慌てて味噌汁で、それを胃の中に流し込む。


「……」


上目遣いに母を伺うと、母は本当に悲しそうな表情で私を見ていた。

母の皿の上のおかずは、一つも減っていなかった。