ギャルとメガブス

「……途中のままになっちゃったって?」


私が握り締めた五線譜を覗き込んで、マコトが尋ねた。


「――あんたに手伝ってもらえって、俊くんそう言ってた」


私が言うと、マコトは頭を掻いた。


「うわあ、そりゃあ責任重大なモノ、頼まれちゃったな。

俺、ピアノなんて弾いたことないんだけど……

それでも良い?」


私は涙を拭いて笑った。


「同じ音楽好きとして、俊くんはあんたのこと、信用したのよ」

「幽霊に褒められたのか! 凄い!」

「嬉しそうね。

あんたのツボが、良く分からないわ……」


マコトは何故か照れて赤くなった。

そのはにかんだ笑顔が、少しだけ俊くんに似ている気がした。


FIN