「本気だよ。

だってお前、幽霊と喋れるんだろ?

そんなのさ、キチガイ以外の何者でもねーだろ。

あー怖い怖い」


コーイチは言い放つと、足早に歩き出した。


「じゃあな、ミナ。

一人でタクシー拾って帰れよ。

そんくらい、キチガイでもできるよな?

俺、用があるし」


私は泣いた。

声を殺して泣いた。

私の先を行くコーイチに、泣き声を聞かれたくなかったから。

けれども、涙は止めようもなく、私の頬を伝ってぼろぼろと警備会社の廊下に落ちた。