ギャルとメガブス

警備員は、私を事務室のようなところに連れて行った。

簡素な作りの応接室へ通される。


「あんた、家族か誰か、連絡するから、連絡先を教えなさい」

「家族?」


私は顔を引き攣らせた。


ずっと私を苦労して育ててきた母は、今も横浜に住んでいる。

年老いて随分と身体の弱くなった祖母の面倒を見ながら。


その母に余計な心配を掛けたくない。

できれば……何も知らせたくない。