ギャルとメガブス

聞きたいけれど、聞いてしまっても良いのだろうか。

知りたいけれど、知ってしまっても良いのだろうか。



クラスメイトたちは皆、何でもかんでも、私に隠したがった。

皆で共通の秘密を持ち、それを私にちょっとだけ見せて、私が手を伸ばすと、さっと隠してしまう。

そんな意地の悪いゲームが、楽しいらしかった。


だから私は尚のこと、こんな時に困惑してしまう。



だって、そんな特別な秘密を、私みたいなメガブスが知ってしまっても、本当に良いのだろうか?



「お母さんが、行け行けってうるさいんだ。

でも、楽しくないよ。

先生、おっかないし。

学校でも、男がピアノなんてやってるとさ、女みたいだって、馬鹿にされるんだよね」

「じゃあ、本当に嫌いなの?」


俊くんは唸った。