その時、帰宅途中のサラリーマンが、公園を突っ切って歩いて来た。
私のすぐ傍を通り掛かる。
恐らく彼にも、俊くんの姿は見えていない。
サラリーマンは、誰もいない空間に向かって、一人大きな声で語り掛けている私を、不審そうに振り返る。
哀れむように、しかし見てはいけないものでも見るかのように一瞬眉間に皺を寄せ、いぶかしむような表情をした。
そして、見ない振りをする。
私は悲しくなった。
きっとあのサラリーマンは、私が頭のおかしい女だと思ったのだろうな。
サラリーマンの視線は、私が時々デートで散歩に行く代々木公園で、浮浪者の人たちに向ける視線と、多分同じものだった。
自分より格下だと相手を判断し、蔑みつつ哀れむ視線。
とても冷たい表情だ。
自分の浮かべた表情は、自分には見えないから分からない。
けれど、他人の浮かべた表情から、自分の表情を想像することはできる。
私もあんな、冷たい表情になっているのだろう。
クールぶってて、ダサい表情だ……。
私のすぐ傍を通り掛かる。
恐らく彼にも、俊くんの姿は見えていない。
サラリーマンは、誰もいない空間に向かって、一人大きな声で語り掛けている私を、不審そうに振り返る。
哀れむように、しかし見てはいけないものでも見るかのように一瞬眉間に皺を寄せ、いぶかしむような表情をした。
そして、見ない振りをする。
私は悲しくなった。
きっとあのサラリーマンは、私が頭のおかしい女だと思ったのだろうな。
サラリーマンの視線は、私が時々デートで散歩に行く代々木公園で、浮浪者の人たちに向ける視線と、多分同じものだった。
自分より格下だと相手を判断し、蔑みつつ哀れむ視線。
とても冷たい表情だ。
自分の浮かべた表情は、自分には見えないから分からない。
けれど、他人の浮かべた表情から、自分の表情を想像することはできる。
私もあんな、冷たい表情になっているのだろう。
クールぶってて、ダサい表情だ……。
