小学生の時、私は富士見が丘に住んでいた。


今でも、小さな商店街と呼べなくもない程度に店が軒を並べる駅脇の一本道以外は、特にこれといって何もない、閑静な住宅地ばかりが広がる街。



私はその静かな街の片隅で、地味に、ひっそりと育った。

街も地味なら、私自身も地味だった。

他人と喋るのが苦手な子供だった。



子供というのは大概、朝から晩まで小猿のように大騒ぎして群れているものだが、私はそこに入ることができなかった。


集団の中での己の立ち位置、他人との距離の取り方が全く分からなかったのだ。


分からないばかりか、他の子供たちのように、あっけらかんとした明るさもなかったので、私はそれを無駄に気にして、ますます卑屈になっていた。