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────薄暗い、森の中。
少女は、歩いていた。
いや、正確には……
少女と一匹は、歩いていた。
「クローディア……どこまで歩き続けるつもり?」
その一匹……もとい、黒猫は少女をクローディアと呼ぶ。
クローディアが彼女の名だ。
「分からないわよ、ロキ……。でも、できるだけ遠くに逃げなきゃ。
絶対に私は、死んだりしないんだから……」
クローディアは黒猫をロキと呼ぶ。
ロキは黒猫の名だ。
「いいよ、僕……どこまででもクローについてくから」
そう言ってロキはクローディアの頬をなめた。
「ありがと……ロキ。とても、心強いわ」
そう言ってロキをなでるクローディアの目から、涙が一滴こぼれた。