「ねぇ、クロー」
ここは街中で、人がたくさんいるせいか、ロキは小声で話す。
「……なあに、ロキ」
さっきまであの男の人にお前と呼ばれていたから、名前を呼ばれるのが久しぶりに感じた。
「あのさ……あの男についていって本当に大丈夫なの?逃げるなら今だよ?」
「大丈夫って言われると……大丈夫じゃないかもしれないけれど……」
「ほらね、やっぱり逃げようよ!何されるかわかんないよ⁉︎」
「でも!私……あの人は悪い人じゃないと思うの。……って私、なにいってるのかしら」
いや、悪い人じゃないからこそ私の敵なのかもしれないのだけれど。
「クロー……。いいよ、勝手にしたら。僕、どうなっても知らないからね?」
「ロキ……」
そう言ってそっぽを向くロキに、私は何も言えなかった。

