家庭科室の前で、すーはーすーはーと息を整える。

大丈夫、だって、恵ちゃんはあんなに良い子じゃないか!

きっと、僕の中身を見て好きだって言ってくれてるはずなんだ。

勢いよくドアを開けると、一瞬中にいる女の子たちの視線が僕に集まった。

ついで、彼女たちはお互いに目を合わせる。

ぶっ‼

「ぷっくく、噂は流れてきてたけどまさかここまでとは!」

「桜野くん?ほんとに桜野くん⁉っうけるんだけど!」

「白いね、白が際立ってるね、卵みたいあははっ‼」

ひっどい、皆ひっどい。

僕は心にぐさぐさとナイフをつきたてられつつも、たった一人を探した。

「恵ちゃ……」

呼びかけて、やめた。

恵ちゃんが、あんまり表情のない顔をしていたから。

やっぱり……

心がズキンズキンと痛み出す。

やっぱり彼女は僕の見た目が好きなだけだった?

こんな僕を見て、失望したの?

泣きそうになって、慌ててうつむく。

「あー、桜野先輩、そんな落ちこまないで。見慣れればいい感じですよ」

「うんうん、失敗は誰にでもあるしね」

皆必死に笑いを抑えつつ、僕を励ましてくれる。

いい人たち。

でも大好きな仲間の言葉を響かないくらい、僕はショックを受けていた。