「あ、そういえば、大樹って、遥輝く…遥輝の//友達なんだね!」


「あーそーだよ。知らなかった?」


「昨日聞いて、びっくりした!

大樹と結構話したこと、あったの?」


「あー。結構仲良かったよ。

あ、そーいえば…あれ、可奈子の事だったのか…。」


「え?なんの話?」


「いつもさ、試合後に俺ら何人かで自主練みたいのやってたんだけどさ、ある日大樹が今日は帰るって言い出して。

なんでかって聞いたら、幼馴染の誕生日だから、俺が一緒にいてやらねーとって。」


「大樹…。

私の家さ、お母さんいなくて。

お父さんも仕事で忙しいから、誕生日いつも大樹が一緒にいてくれたんだ。」


「可奈子…そうなんだ。

まあ…だからさ、例え加藤のことが好きでも、可奈子は大樹にとって、大切な存在なんだと思うよ。」


大切な存在…


「そうかな…ありがとう。遥輝…」


大樹が、いつも私が寂しがらないようにそばにいてくれて…


私にとっても、大切な存在だよ…。


大樹がいたから、今の私がいる。


「私にとっても大樹は大切な人だからっ

やっぱり、大樹には、一番好きな人と幸せになって欲しい…っ」


今、心から、そう思えた。


「可奈子。」


また涙が出てきてしまった私を、遥輝は、そっと抱きしめてくれた。


私は,遥輝の胸の中で1時間目終了のチャイムがなるまで泣き続けた。