「そっか。そうだよね…
でも、そしたら私はどうしたら…」


「俺は、もう開き直ったよ。

たとえ一方通行な思いだとしても自分の中で思い出になるまで、そいつを好きでいようって。

そしたら、気持ちが楽になって、失恋した事もいつの間にか受け入れられるようになっていった。

んで、そいつとクラス離れて合わなくなったらしっかり過去の事になったっていったってわけ。


だからさ、無理に忘れようとしなくてもいいんじゃない?

って、俺は思うけどね。」


「無理に、忘れようとしなくてもいい…」


「そう。だからさ、好きならずっと好きでもいいんだよ。

だってそればっかりは、相手に好きな奴がいたとしてもしょーがねーもん。」


「そっか。なんか、気が楽になったかも。ありがとう!遥輝くん。」


「うん。最初は辛いと思うけど、そのうち
過去にできるから。

他の男に走るっていう手もあるけどな!」


「あははっ!なにそれ!」


あーなんか、久々に声に出して笑ったな。


「私、遥輝くんに助けてもらってばっかりだな。

何か、お礼したい!何がいい?」


「お礼?んーじゃーさ、

可奈子って呼んでもいい?」


「えっ…?いいけど、それがお礼?」


「うん。じゃあ欲を言えば…

俺の事、呼び捨てで呼んで…。」


「え、えっと…」


「可奈子、呼んで…?」


背の高い遥輝くんが私の顔を覗きこんできて、今までに見たことの無いような男の子の顔をしていて、不覚にもドキッとしてしまった。


大樹以外の男の子を呼び捨てにするのは初めてで、なんか、緊張する…


「はる…き?」


「よくできましたー。」


「ねえ!なんでこんなのがお礼?!

お礼になってないよね?」


「なってるよ。
いいから、今度からそれで呼んで。」


んーーー…

遥輝くんの意図はよく分からないけど…

友達ってことかな?