君に恋して



誰かの声がして、

思いまぶたをゆっくりと開けると、そこは保健室だった。


「可奈子、大丈夫か?」


「ん…大樹…?」


ゆっくりと体を起こすと、私のベットの横の椅子には大樹が座っていた。


大樹は、いつも見ないような真剣で心配そうな顔をして私を見つめていた。


「お前突然倒れたからびっくりしたわ。」


「多分、貧血だと思うから、大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」


大樹が私のそばにいてくれたことが、

私を心配してきてくれたことが、

すごく嬉しくて、嬉しくて…


と、その時にさゆちゃんの事を思い出してしまった。



「大樹、今って放課後?」


「さっき、ホームルーム終わって、すぐお前の様子見に来たから放課後だよ。」


「さゆちゃんとの約束は?!

こんな所にいないで、屋上行かなきゃダメだよっ!」



もう私は、大樹がすぐに私のところに来てくれたってだけで、十分だよ。



「さゆちゃんの事、好きなんだよね?」


そう聞くと、大樹は少し下を向いて、


「…うん。」


と答えた。


「じゃあ、早く行かなきゃ。

私はもう大丈夫だから、さゆちゃんの所に早く行ってあげて?

大樹、来てくれて、ありがとう。」


今にも涙が出そうだったけど、堪えて、しっかり笑顔で大樹にそう言い切った。


「可奈子ありがとう。俺、行ってくる。」


そう言って大樹は私の頭をポンポンっとしてから、保健室を出て行った。