6月

今日は陸上競技会。


高校生初めての行事だから、みんな結構気合が入っている。


もうすぐ私の出る100メートル走が始まるから、スタンバイに行こうとしていた。



「可奈子、おはよ。」


「あっ!大樹!おはよ!」



今日は準備とかでバタバタしてたから大樹と話すのは今が初めて。


「可奈子、100メートルこれから?

お前短距離得意だもんな、頑張って。」



「うん。そう!これから!

でも、得意じゃないよー!長距離よりはマシってぐらい。」



「え?速いじゃん。

中学ん時選抜リレー出てたし。」



「いや…ま、頑張るね。」


「うん、頑張って。」



なんて、私を見てニコって笑うから急に恥ずかしくなって目をそらしてしまった。


ずるいよ…そんな笑顔。


ダメだってわかってても、期待しちゃうじゃん…



「可奈子!!早く行こ!」



さゆちゃんが私を大声で呼んでいる。



「じゃあ、私行くねっ」


「おう、頑張れ」


私はさゆちゃんの方に向かって走っていった。


「大樹と、何話してたの?」


「え?大したことじゃないよ!」


さゆちゃんは、笑ってたけど、わたしと大樹が二人で喋ってたこと気にしたかな…?