「遥輝くんに言われて、気づいたあの日から、私、ちゃんと大樹に恋してたの。


気がついたらどんどん好きになって、
恋を初めて知ったの。


でも、大樹が女の子に笑いかけてるとイライラして、勝手に嫉妬して、

そんな自分がすごく嫌だった。


大樹の一言で嬉しくなったり、
切なくなったりして…

私、大樹のことが本当に好きなの。」



それから、大樹がさゆちゃんのことを好きだと言ったことも話した。


その間、遥輝くんは、優しい顔でずっと私の話を聞いてくれていた。


「私、恋をするのも失恋したのも大樹が初めてで、この気持ちをどうしたらいいのかわからない…。」


「…そっか…辛かったな…。
今はとりあいず、いっぱい泣いていいよ」


「え…?」


私は遥輝くんにきゅっと抱き締められた。

すると、自然と涙が溢れでてきて…


それからどれくらい泣いていたのだろう?


私が泣き止んだ時には遥輝くんのシャツは私の涙でぐしょぐしょだった。


私は、遥輝くんの肩をそっと押し返した。


「もう、大丈夫。
遥輝くん、ほんとにありがとう。」



恥ずかしくて、遥輝くんの顔をまともに見れず、ずっと下を向いたまま話した。


本当はちゃんと目を見てお礼言いたかったけど…


「うん…。」

「少し、気持ちが軽くなった気がする。
あと、シャツぐしょぐしょにしちゃってごめんね…。」


「あははっ。いーって、これぐらい。
少しでも力になれたなら、良かった。」


と言って君は微笑んだ。


「また、辛くなったらいつでも言って?
話も聞くし、また泣かせてあげるから。

もう…無理に笑わなくていいから。」


そう言って、私にケータイの連絡先を教えてくれた。


「遥輝くん…ありがとう。」

「だから、いーって。俺の好きでやってるんだから、気にすんな。」


「送るよ」と言われ、さすがに悪いから断ったんだけど、もう暗いからって言って遥輝くんは、私の家まで送ってくれた。


家までは、どうでもいいような話をたくさんしてくれて

遥輝くんの優しさが伝わってきた。


「ほんとにありがとうね。
どうしてそこまで私にしてくれるの?」


私が聞くと目を三日月みたいにして笑って


「ははっ!それは秘密。じゃーなっ」


そう言って、遥輝くんは駅の方に歩いて行ってしまった。


「遥輝くん、ありがとう…」


遥輝くんの後ろ姿にそうつぶやいた。