「んーフロートうめー」


大樹は、私のおごりでマックのフロートを飲んでいる。


喜んでくれてよかった。

内心ではそう思ってるくせに、素直には言えない。


「もっもう!私のおごりなんだから、ありがたく飲んでよねっ!」

「はいはい。ありがとな、可奈子ちゃん」

「あーもーむかつく!」


こんな他愛のない話も、二人ですごす空間が、私には幸せに思えた。

私、ちゃんと恋してる。


ピロリン

大樹のケータイが鳴った。


「誰からだった?」

「…加藤から。」


胸がズキンと痛む。


「さゆちゃんと…メールしてるんだ?」

「うん、まぁ。」

「どんな…?」

「音楽とか、本の話とかかな。」


「大樹は…さ、その……

さゆちゃんのこと、好きなの…?」


大樹は、メールを打つ手を止めて私と目を合わせた。

すると、少し頬を赤くして


「…うん…。そうだな。

俺、加藤のことが好きみたい。」

と答えた。