今日はなんとなく、あれから一度も大樹と話さなかった。


キーンコーンカーンコーン

帰りのHRが終わってすぐに、私は教室を飛び出した。

今日大樹と一緒に帰ったら、どうにかしてしまいそうだったから…

すると、


「おい!可奈子!待てって!」


大樹に腕を掴まれた。

掴まれた腕から体中が熱くなっていく。


「何一人で帰ろうとしてんだよ。
つーか、俺、なんかした?全然思い当たらねーんだけど。」

「いや、大樹がどうとかじゃ、ないから…」


私が勝手にヤキモチやいてるだけ…。


「じゃあ、怒ってない?」

「うん…。」


「俺の事、嫌いになったわけじゃ、ないんだよな?」


「え…?」


「特に喧嘩したわけでもないのに、急に避けるから…嫌われたのかと思った。」


「い、いや!そんなわけ無いじゃん!」


ありえないよ、私が大樹を嫌いになるなんて。


「はー、よかった。安心したわ。」


ドキッ


「いつも一緒にいんのに、理由もわからず避けられたら俺だってヘコむ。」


「そ、そっか。ごめんね。」

「ま、いいよ。帰るか。」

「うん!」


大樹が私に嫌われたくないって思ってくれてるって知って、純粋に嬉しくなった。


きっと今、私顔真っ赤だ…


さっきあんなに悩んだのが嘘みたいに
私の心は軽くなっていた。


「やっぱ、よくない。
罰として、今日の帰りなんかおごって。」


「えー?なにそれっ?!」

「マック行こーぜ、マック♪」

「もぉ、調子いーんだから…」



そんな事言いながら、密かに放課後二人でいられることに喜んでいたのは、内緒ね。