「可奈子、帰ろ。」


大樹…。


「あ、うっうん!」


「可奈子、ばいばい。」



と、優しく笑うさゆちゃん。


こんな気持ちを持ちながら大樹と帰るのってなんかさゆちゃんに罪悪感…。


大樹とは私のほうが一緒にいる時間も長いけど、さゆちゃんは可愛いし性格もいい。


そういえば、恋に時間なんて関係ないって、誰かが言ってた。


私に勝ち目なんてあるのかな?


そもそも高校で出来た一番の友達、
私の大事な友達のさゆちゃんと戦いたくなんてない…


でも隣で私に笑いかける大樹を見ていたら


この笑顔を独り占めしたい…。
そう思っちゃうよ。



私、いつの間にこんなに大樹のこと好きになっていたんだろう。



風に揺れる栗色の短い髪…

笑う時にちょっと下を向く癖…

制服の袖をまくる仕草…


大樹の一つ一つの仕草にドキドキしてる。


そっか、これが恋なんだ。


私は初めて恋というものを知った。