「じゃあ俺は、今日のところは帰るな。
また明日、母ちゃんと来るから。」




「大樹、本当にありがとう。さゆちゃんもいるのに、いつもいつも、ごめんね…」




「可奈子!何言ってるの?私、可奈子をほっとく大樹なんて好きじゃないよ!」



「さゆりもそう言ってるし。気にすんなって。じゃーな。」



「待って!大樹、帰っちゃうの?」



さゆちゃんが大樹を引き止める。




「分かった。外で待ってるから。
一緒に帰ろう。」



大樹はさゆちゃんの頭をぽんぽんとしてから行ってしまった。




そんな二人を見ていたら、なんだかさゆちゃんに申し訳なくなってしまって、



「さゆちゃん…?もう大丈夫だから大樹と一緒に帰っていいよ?」



と言うと、



「ううん、私はもう少し可奈子といたいから。大樹に待っててもらう。」



と、さゆちゃんが笑顔で言ってくれたから、私も、「うん!ありがとう。」と笑顔で返した。