5月に入って、
高校生活にも少し慣れてきた。
『じゃー、宿題集めるぞー。後ろから回せー。』
「えっ、宿題?!」
宿題なんて出てたっけ?!
やってないよーー!
『やってない奴、放課後居残りだからな』
嘘でしょ、どうしよう…
サッ
「え…?」
「どーぞ?」
私に宿題のプリントを差し出したのは、あの茶髪でピアスの人だった。
「あっ、ありがとう!」
私は必死に写して、プリントを前に回した。
彼とは何となく気まずくて
必要以上喋ったことはなかった。
名前は確か…湯山遥輝(ゆやまはるき)だったかな?
「あの…、ごめんね?
ほんとにありがとう!」
怒ってる…かな?と思ったから、顔をあげないまま、お礼を言ってプリントを返した。