「このときは愛されてたんだよね、私」






起こした体をもう一度倒し、ひとつひとつ受信ボックスの中を見ていく。



そうだ、このときは愛されてた。



いつから浮気されてたのかは知らない。
そんな素振り微塵も感じなかったし。



メールだったからどんな顔してたかも分からない。






「……愛してる、か」






いつも文の終わりに[愛してる彩子♡]と書かれていた。



それが嬉しくて、たまにニヤニヤしてた自分を思い出す。






「……ほんとバカ」






昨日は公園から帰った後、弟に野球観戦に誘われたので浸る余裕もなかった。


でもこうやって、しみじみ過去を振り返ってみると駄目だ。






「駄目だ」






涙腺が緩み、目から水が溢れてくる。






「うっく」






枕に顔を埋めて、泣いた。


失恋して泣くなんて今まであっただろうか。