「な、なに言って」
「まあちょいと聞いてくださいよ」
何なの。
まあ、聞いてあげなくもないけど。
俊也くんの腕を退けようとした私の手を引っ込めて大人しくする。
これ以上暴れてみっともない姿を晒すのはごめんだ。
「この前友達に言われたんですよ。押して駄目なら引いてみろって」
それって、よくあるやつじゃん。
今まで強引だった人が、急に素っ気ない態度になったら気になって気になって。
そんで「あ、もしかしたら私こいつのこと」って感づき始めるあれよね。
てことは、俊也くんに嫌われたとか彼女できたのかもと思ったあれは、俊也くんの計算だったわけか……。
まんまとはめられたのね。
年下にはめられる私って…………。
「それでやってみたのは良いけど、麻里絵さん全く気にかける様子ないし。むしろ他の男とイチャイチャしてるし」
そのときのことを思い出しているのか、怒りを含んだトーンで語る。
「だから、麻里絵さんは本当に俺のこと
微塵も興味ないのかと思ったらヤケになって……」
なんていうか、年相応だ。
キュンと心臓を掴まれた気分。
「丁度下校中に、帰ろうって誘ってきた女がいたから断らなくて……。俺がどう頑張っても麻里絵さんに好きになってもらえないって考えるとどうでもよくなって……」
「……ふうん」
「でも」
顎を持ち上げられ、顔を俊也くんのほうに向かされる。
「俺のこと、好きなんですよね?」



