「なるほどねー、それで彼女ができたんじゃないかと思ったわけか」






丁度ブランコに木の影ができ、涼しくなる。





「まあ、うん」

「でも本人に聞いてみないと彼女かどうかなんて……」






そうなんだけどさ。聞けるわけないじゃんか。


彩子に頼んでも、「なんで?」ってなるのに。





「だから一度浮気というものを経験した中岡くんに相談してんじゃん」

「浮気じゃねえし!!彩子の勘違いだし!」

「ふーん、そうやって彩子のせいにするんだ」

「はっ!?ば、ばっ……!」




なーんで彩子はこんなのが好きなんだろ。

子供っぽいし、顔だけじゃんいいとこ。


子供っぽいのは俊也くんも同じだけどさ。実際子供なわけだけど。





「で、どう?」

「どうって………まあ、断定じゃないけど彼女とか?あとは.....愛想尽かされた、とか」

「………だよね」






ずーん、と落ち込む私に失言したと自覚しだしたのか、「でも麻里絵ちゃんも可愛いよ?」とかフォローする。






「いいよ、別に。俊也くんかっこいいし、モテるのも当然だし」






やっぱり彼女だ。彼女ができたんだ。それか好きな人ができたんだ。
そして私に愛想尽きたんだ。



私みたいな年上よりも、同じ年くらいの可愛いくて化粧してない中学生らしい子が好きなんだ…。



そう呟く。





「いや、でも麻里絵ちゃんも素っぴん可愛いよ?なんで化粧してるのか不思議なくらい」

「なによそれ、浮気発言?懲りないのね」

「違えええ!」

「……私ね、そばかす酷いの。小学校のころ男の子にからかわれて、中2のとき化粧しだしたんだけど……」




唯一のコンプレックス。
化粧してたら自分でも可愛いと思ってる。



俊也くんの前で、一度だけ素っぴん見られたことがある。




彩子の部屋で化粧しようと思ってたのに、する前に俊也くんが現れて……。




そのときはまだ俊也くんのこと恋愛対象に見てなかったし、男としてすら見てなかったから、特に気にしてなかったんだけど……。