何度もため息を吐きながら歩いていると、知っている顔がいた。
あれ、あいつなんでこんなとこに。
家この辺りじゃないよね。
そう思って近づくと、奴も私に気づいたようで手を振った。
「麻里絵ちゃん!」
「中岡くん」
彩子の彼氏がいた。
相変わらず甘いフェイスをしているこの男。
「なにやってんの?こんなとこで」
「あー、ちょっとあって」
そう言うと、くるりと後ろを振り返って「彼女来たからごめんね」と近くにいた女の子たちに言い放った。
「……お前また浮気か。懲りないやつだね」
「ちっ、違う!」
私の手を取って歩き、女の子たちから見えないとこまで来ると、手を放した。
「四人いたね」
「あ、あれはその……逆ナンで……」
「ふうん」
おろおろしてる中岡くん。
「だからこのことは彩子に内緒に!」
「やらしいことがあるからそんなこと頼むんじゃないの?」
「違うって!今度浮気紛いなことがあったら別れるって言われたから……」
シュン、とする彼は飼い主に怒られた子犬のようだった。
「さっきのは浮気紛いなんだ?」
「いや、許容範囲が分からないから、取り敢えず女の子との接触は極力避けるようにしてる」
真剣な表情になった中岡くんに、不覚にもかっこいいと思ってしまった。
俊也くんには劣るケド。
「でも私の手を取ったことは彩子に言ってやろっと」
「待って!マジ勘弁!!」
「冗談だよ。けど黙っててあげる代わりに、私の相談にのって?」
「え……?」
男を落とすときに何回か使ったことのある上目と、眉の下げ具合を親友の彼氏相手にやった。



