「ねえねえ、彼氏は?」
「今いないよ」
「へえー」
俊也くんのために別れたんだよ。
そんなことを言ったら瞳を輝かせて喜びそうだな。
実は私、この子のことが好きだったりする。
前の彼氏と何ヵ月か付き合った頃、俊也くんを好きになった。
特にこれと言ってきっかけのようなものがなかったりするが、あんだけアタックされれば落ちる。
「麻里絵さん好きなタイプは?」
「またそれー?あんたこの前も聞いてなかった?」
呆れたような彩子。
「可愛いくて優しくて、面白くて、私のことを一途に想ってくれる人」
「まさに俺」
「んなわけないでしょ!」
俊也くんはたまにナルシストが入ったりする。
自分のことを可愛いと認めている。
かっこいいじゃなくて、可愛いというところがポイント。
「麻里絵さん、俺と付き合おうよ」
「うーん」
私がここでOKを出せば上手くいくのだろう。
けど、相手が親友の弟だからか。
中々言えない。
もし私が彩子の立場で、弟と親友のラブラブシーンを目の当たりにでもしたら……。
引いてしまうかもしれない。
彩子だからこそ、長い付き合いの親友だからこそ、言えないこともある。



