「今回のことは、まあ許して上げる」
「……ハイ」
「夏休み明けの部活帰り、たまには一緒に帰ろ」
「! うん」
「よし」
暑いというのに、私はベンチに座った祐也の膝の上に乗り、抱きつく。
「ところで祐也」
「ん?」
「公平さんとどういう関係?」
「あー……兄貴」
「え!?」
だから何回か、公平さんと祐也がかぶって見えたのかな。
「彩子こそ、なんで兄貴といたんだよ」
膨れっ面で腰の辺りを強く締め付ける祐也。
「……荷物持つの手伝ってくれて、アドレス聞いて。そんで相談に乗ってくれてた」
「聞いたって……逆ナンか?」
むっ、とする祐也にドキッとする。
「だって。なんで男の人が浮気するのか聞きたかったんだもん」
「うぬっ……それって俺のこと?」
「他に誰かいる?」
でもさあ、とか、だってさ、とかぶつぶつ言ってる祐也を他所にほっぺにキスをした。
「ふふふ」
「な、なんだ」
「んーん。短い別れだったね」
「そうだな」
眉を下げて笑う祐也に、どちらからともなく深いキスをした。