「そんなの、当たり前でしょっ」
「…………ぇ」
今度は私と目が合った。
祐也の瞳が潤んでいるということは、涙がでてきているのか。
「そりゃ、キスしてるとこ見たときはショックもあったけど」
そう、初めは冷静だったんだ。
その瞬間を見たときから別れようと心の中で決断していたのかもしれない。
「でも好きだもん。嫌いなわけないじゃん」
「あ、やこ？」
今、顔がきっと酷いことになってる。
赤くなった目に、鼻水が出てみっともない。
「浮気したら嫌いだけど、してないなら良い」
「っ！」
ズビッと鼻を啜ると、いきなり祐也に抱きつかれた。
両腕でぎゅっと抱き締められ、私もその大きな背中に腕をまわす。
「ごめっ、彩子」
「次なんかあったらっ、もう知らない」
「うん、うん...ありがとっ」
抱き締められた腕が緩んだかと思えば、祐也の顔がドアップになり、久しぶりのキスをした。
「……ふぅっ」
「ん…彩子」
口に、額に、頬に、首にする祐也。
「祐也………」
「ん？なに……っ」
今度は自分から。
他の女とキスしただけでも腹ただしいのに、舌まで入れたなんて。
そう思って私は祐也の口を抉じ開け、舌を入れた。
「んむっ！？」
今まで自分からこんなことしたことなかったもんだから、祐也はとても驚いている。
「……はっ。祐也、愛してる。浮気したら本当に別れる」
「うん、わかった」
顔が赤いのは、久しぶりだったからだろうか。
