「彩子っ、お願いだから……」

「知らない!!」





腕を掴んできた祐也の手を振り払い、椅子から立ち上がって店を飛び出した。




後から思えば公平さんに失礼だったと思う。




でも私はとにかく祐也から逃げたかった。


あのままだと泣いてしまいそうで。

目の前で泣きたくなかった。

泣いてるところを見られたくなかった。








なによ、なによ。




浮気現場を見たときは冷静だったのに。
なにも動じなかったのに。




なんでこんな、こんなっ。





走りながら涙を流している私は他人の目にどう写ったのだろう。