「はあ?知らない人と赤外線ー?電話番号まで教えたわけ?」
午後、麻里絵が家に来た。
相変わらずの可愛い服装に、弟は惚れ直していたが。
「なんで知らない人と」
「荷物持つの手伝ってくれてさ、ちょっと聞きたいこともあったし……」
「聞きたいことって、まさか中岡くん関係?」
「察しがいいね」
麻里絵は赤いクッションに座りながらくまのぬいぐるみを抱いた。
暑くないのかな。
「未練、実は結構あったんだ?」
「……ない、こともないけど」
「ま、いいけどね」
昨日の夜、泣きながら山下に嫉妬したりもしたし、これで未練が全くないとは言い切れなかった。
私も、もうちょっと可愛いかったらなあ。
「私は次の恋に走るべきだと思うけどねー」
「麻里絵はいいね」
「時にはばっさり切り捨てることも大事よ」
「ちょ、なんで髪を見るかな」
髪は切らないからね。
もし祐也や山下なんかに会ったりしたら「失恋したから切ったのか」とか思われそうだし。
「それに、ポニーテールするの好きだから切りたくないの」
「あっそ」