「あ、あの…。」

「…冗談だ。あまり深く考えるな。…仕事するぞ?ほら。」

先輩は私の背中を軽く叩くと作業へと戻ってしまった。や、やっぱり冗談、だよね…。本気にしてしまった私が、なんだかバカみたい。

さっき思い浮かんだ人。
私の好きな人はやっぱり…。

ううん、今は仕事に集中しなきゃ。頭を振って無理やり忘れようとした。




「…志優。貴方本当にいいの?」

「何の話だ?」

「好き、だったんでしょう?いつもは諦めることは嫌いだって、言っていたのに。」

「俺が言ったところで答えはあいつの中で出ているだろ。それをねじ曲げようとは思わんな。…それに、あいつの幸せを願った方が、余程楽しいな。」

「…そう。」