スイーツ男子、佐藤くん

「…藤山か。厨房担当に変わったのか?」

「…あ、志優先輩。その、ちょっとあって…。」

「そうか。足は大丈夫か?」

「…はい、大事には至りませんでした!旅館の方のおかげです…。」

「…あまり無茶はするな。お前は自分をもっと大切にしろ。お前を大切に思うやつはいるんだからな。例えば…。」

志優先輩の掌が頭にのせられる。撫でられるのって、なんか久々で…ちょっと、照れるかも。

「俺、とかな。」

「え…?」

「…お前のことが好きだ、と言ったらどんな言葉を返すつもりだ?」

志優先輩が、私を、好き?
体中の熱が頬に集まって行くのがわかる。何も考えられない。志優先輩は、私にとって、優しくて頼り甲斐のある先輩で。

じゃあ私の好きな人って誰なの?


目を閉じると浮かんで来るのは、いつもあの場所で迎えてくれる彼の顔だった。