スイーツ男子、佐藤くん

3日目になった。
私は海の家から出ることを禁じられ、ただ忙しなく注文を取っているだけだった。これ、バイトっていうのかな…なんていう疑問が過る。

「いらっしゃいまっせーー!!」

伊織くんの元気の良い声が聞こえる。ちらりと後ろを見ると、私達と同年代くらいの男の子の団体みたいだ。

「すまんな、藤山ちゃんあそこのお客さん注文行ってー!」

真広先輩に頼まれ、さっきの団体の元へ行く。け、結構多いかも…。

「えーっと、焼きそば4にかき氷3でー…っと、蛍!お前どうするよ!」

ん?蛍?
なんだか聞き覚えのある名前が聞こえた。

下に向かっていた視線をギギギ、と動かすと、そこに居たのは紛れもなく水着を纏った我が弟だった。