佐藤くんがゼラチンを温める後ろ姿を見つめる。佐藤くん、卒業後はベルギーに言っちゃうんだ…。一年間以上先のことなのになんだか悲しくなった。

「…藤山？なんか落ち込んでんなぁ。もしかしてけーちゃんのことか？」

伊織くんが小声で話しかけてくる。確かに佐藤くんのことだけど…。

「え、あ、あの！ち、違うよ！」

「いやいや、隠さなくていいんだって！」

満面の笑みを浮かべる伊織くん。なんだかその笑顔はひまわりみたいだった。

「…俺も頑張らなきゃなぁ…。なぁ、藤山。ちょっと質問していいか？」

「私に答えられることだったら！」

「大丈夫だって！あのな、お、女が喜ぶプレゼントって何か分かるか？い、いや、深い意味はねえんだって！」

女の子が喜ぶプレゼント…？伊織くんからそんな質問を受けるとは思ってもいなかった。ん？待てよ？プレゼント…？女の子ってことは分かるんだけど、多分渡すんだよね…？一体誰にだろう。

「…いやぁ、な？ちょっとしたお礼に渡そうかなって思ってんだけどよ、俺そういうの分かんなくってな。見た目でよくチャラいって言われるけど、あんまりそんなことねーんだよ。」

真っ直ぐとした瞳で伊織くんは言った。あれ、もしかして伊織くん。その人のこと…。

「渡す相手のこと、好きなの？」

伊織くんの顔が徐々に赤く染まっていった。これはきっと暑さのせいじゃない。